中東で髪を切りに行くということ。

こんなときこそ更新だ!

 

ムスリム女性は大変、美意識が高い。

モールやスーク(市場)には必ずヒジャブ屋さんがあり多種多様なヒジャブが売られている。洋服も身内以外の男性には肌も髪も見せてはいけないので、ロングスリーブに足首まで隠れるロングスカートが多い。(地面に擦れてイヤじゃないのかな?といつも思う。余計なお世話だとも思う。)これまた、きらびやかな刺繍が施されていたりと多種多様なものが売られている。

お化粧もこれまたバッチリだ。高校生もバッチリだ。(日本だったら即指導…。)

抑圧の中の自由と見ていいのか?

なんだかそれ自体楽しんでいるようにも見えるが、本当のところはわからない。

 

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中東で髪を切りに行くということ。
はとても難易度が高いと個人的に思っている。何故ならばイスラム文化では女性は髪が長いのが美徳とされているからだ。普段ヒジャブで隠されているが殆どがロングヘアーだ。

以前、何気なく「髪切りたいんだよねー。」と言ったら語学の先生に「なぜ⁉︎なぜ⁉︎切っちゃダメ!」と大変エモーショナルに言われたことがある。(なぜと言われてもねぇ…。)

アジュルンに来て約半月、もさもさした頭を触りながら、そろそろ切りたいなぁと思う。前述にもあるが、ムスリム女性は身内以外の男性には髪を見せてはいけない。なので床屋は男性用と女性用に別れている。

行くと決めたところでどこにあるのかわからない。男性専門は外から見られても大丈夫なのでわかりやすいが、女性専門は外から見えないようになっているのでアラビア語がわからないと見当がつかない。

飛んで火に入る夏の虫ではないが、職場のムスリム女性ではなくクリスチャン女性に聞くことにした。探しているといつもの愉快なおじさん達に「どこ行く?なんで探してるんだ?」と聞かれる。ギクッと思いつつも普段よりいくぶん小声で「髪を切りたいから床屋を聞きにいくんだ。」

なんてことを言うんだと怒られるかと思いきや、「オレが切ってやるよ!」(遠慮します)「オレが行ってるとこに連れってってやるよ!」(いやだからそれはダメでしょ。ツーブロックになるのが目に見えてる)

その後もオレがオレがと続いた。なんだか拍子抜けしてしまった。

探していた職員が不在だったため何ら情報も得ないまま帰宅。大家さんに聞いたところ(ここでもまだ怒られるんじゃないかとびくびくしていた)家から徒歩5分のところにあるとのことだった。大体10−15JDとのことだった。

早速行ってみた。恐る恐る扉を開けると、赤ちゃんが大泣きしながら母親に抱かれ髪を切られていた。内装は普通のこぢんまりとした床屋だ。座って待ってなさいとブロンドの女性店主に言われおとなしく鎮座。

赤ちゃんを抱いたお母さんが代金を支払って出て行く。店内には店主と私の二人きりだ。座りなさいと、先程赤ちゃんが座っていた場所に座る。短くというかボリュームを減らしたいんだけどみたいなことを伝えるが伝わらず。確実にへたくそなアラビア語にイライラしている。恐い。(でも、よくあること。)仕方なく少しだけ髪を切ってくださいと頼む。(ここで怒られなくてやっとほっとした。)普通よりもちょっと鋭利な程度のハサミでバッツバッツと切っていく。ハサミが首に刺さって痛い。いろいろと恐い。

思わず「シュワイ!シュワイ!(少しだって!)」と言うが店主はハイハイと流す。ものの10分程度で終わった。そしてものの10分程度でとっつぁん坊やが完成した。金額は4JDだった。(子ども価格か?)

店主はドカっとソファーに座りタバコに火をつける。何だか映画のワンシーンみたいだなぁ。と呑気に思っていたら賃貸の勧誘が始まった。「いや、今の家が好きだから大丈夫。ハハハ…」と防衛的な笑みを浮かべながら店を出る。

なくなったもみあげを触りながら家路に着く。帰ってからすきばさみで整えるが失敗に終わる。よくあるパターンだ。

異教徒だから何も言われず切れたわけで、ムスリムは大変だとかムスリムじゃなくてよかったとかそういう話じゃなくて女性が坊主にする国もあってなんだか漠然と世界は広いなぁなんて思った。

 

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 (これ結構貴重な写真だと思うんだけどなぁ…。)