グスマート

あー寒い、寒い。日本よりは寒くないけれど寒いもんは寒い。東北の人間だけど寒い。

引き続き去年の話。(いつになったら今年になるのだろうか。)

 

調理実習をした翌日、何人かの生徒から「チキンライスを作ってみたよ。」と言われる。なんで皆チキンライスだけなんだ?と思いつつ嬉しい限りである。

ある日のこと学校のアラビア語の先生に終わったらウチに来なさい。と言われる。有り難い話だがちょっと具合が悪かったので「今日は具合が悪いんだよね。明日じゃダメ?」「ダメ。今日。」強引だなぁ〜と思いつつ「じゃ、行く。」と言い仕事終わりに先生の家に遊びにいく。

到着して、なんで今日じゃないとダメなのかがわかった。親族の女性達20人近くが集まって何かやっている。皆に挨拶を済ましてから「コレ何?」と聞くと「グスマート。」何それ。

覗いてみると見覚えのある黄色いパン(ターメリックとなにかの実が入っている。)を女性達がせっせと作っていた。この、パン作りを「グスマート」と呼ぶらしい。

この黄色いパンには見覚えがあった。以前に大家さんから貰って食べたことがある。甘い紅茶と一緒に食べるんだよと教えて貰った。これがまた美味しいんだな。でも作っているところは見たことなかった。

おーこれはなかなか貴重だなぁと思って「写真撮ってもいい?」と聞くと「いいよ。」と言ってもらえたが女性陣の頂点であるママ(80歳くらいだろうか)が「ダメ!」と一言。周りがいいじゃないと言っても頑と譲らない。基本女性の写真はNGな文化なので仕方ない。と諦めていたのだが、ママが目を離すと周りが(ホラ!今のうちに!)みたいな感じを出しカメラを構えるがなかなか難しい。何回かトライしているうちにママに見つかって「だからダメだって!」と怒られる。謝りながら絶対顔は写さないからと言って数枚撮らせてもらった。

そして早速参加させてもらった。恒例の質問攻めに遭いながら、見よう見まねでやってみるが皆のように上手くできない。やっていくうちにコツを掴んでそこそこ出来るようになった。周りも上手い上手いと持ち上げてくれる。

 

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(テーブルの上で生地をこねる)

 

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(プレートの上で生地を伸ばすと模様ができる)

 

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(模様をつけた生地をこのように並べる)

 

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(窯で焼いて油を表面に塗って完成)

次から次へと生地はやってくるし、釜は二台同時進行だし、どんどんと大量のパンが生産される。そして作りながら皆食べる食べる紅茶とともに。私も作りながら4,5枚は食べた気がする。片付けもすべて終わった頃にはとっぷりと日が暮れていた。にしてもこの大量なパンはどうするんだろう?と思っていたら、4,5枚ずつ袋に入れはじめた。先生に「ほら、誰に持っていく?」と聞かれ、この人とこの人とこの人、と日頃お世話になっている数名をピックアップする。自分の分も持たせてくれてお土産にしてくれた。

皆それぞれこうやって近所の人とかに配るんだそうだ。そりゃ大量に必要になるな。

招待されて用意された御馳走をみんなで食べるのも面白いけれど、こうやって一緒に作りながら気がついたらとっぷり日が暮れている方が性に合っている気がする。