親切な日々とスパイス

20171015-

雨が降ってからというもの一気に秋になった。荷物に傘とザックカバーが追加される。

いつもどおりバスに揺られ学校の近くで降りる。コツコツと持ってるコインで窓を叩く。(降りるときこちらでは指輪やコインで窓や車体を叩く。私は未だ不慣れなリズムで叩く。)降りるときいつもどおりお金を払おうとしたら運転手が「いらない。オレからのプレゼントだ。ようこそヨルダンへ。」と言ってきた。こういうことが多々ある。ありがとうと言ってバスから降りる。一度きりだと思ったら、その運転手のおじさんのバスに乗る度に「お金はいらない。」と運賃を受け取ってくれなかった。これは歓迎の意味もあるし施しの意味もあるような気がする。施しが善とされるイスラム文化では物乞いの人に当たり前のようにお金を渡すし、お金を渡さない時は何か声をかけている。(もちろん中には、あっちいけと追い払う人もいる。特にアンマン。)

 

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(この日は特等席だった。)

アジュルンに来てはじめの頃、こちらはゴミを分別しないのになぜかパンだけの袋がゴミ箱にぶら下がっていたり、そこらへんに袋に入って置いてあるのが目についた。気になってカウンターパートに聞いたら「お金がない人のために、ああしてるんだ。」と言っていた。

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帰りのバスを待っていたら何だか変なおじさんに絡まれる。「一緒に写真取ろうぜ!」などとうるさい。日本にもいる酔っぱらいのおじさんのような感じだった。

面倒くさいなと思っていたら、用務のおばちゃんが通りかかって追い払ってくれた。そのまましばらく二人で世間話をしていたらバスがやってきた。それを確認するとおばちゃんは「じゃあね」と帰って行った。バスが来るまで付き合ってくれたことを、そのときわかった。

 

季節の変わり目だからか何だか気怠い日々が続く。どうしたもんかと考えていたら以前ヨルダンのスパイスは調味料としてだけではなく、薬の役割としても売られていると聞いたことを思い出した。早速スーク(市場)のスパイス屋さんに行ってみた。何がどれやらさっぱりわからず突っ立っていると、店の奥から店主とおぼしき小柄なお爺さんが現れた。魔法使いのような、この人の言うことなら間違いないんじゃないかと思わせる雰囲気が漂っているお爺さんだった。拙いアラビア語で聞いてみる。「私は今元気ではありません。飲めば元気になるのはどれですか?」とあやしい質問を投げてみた。

お爺さんはシナモンとショウガと最後に謎のスパイスを出してきた。「これを飲めば元気になるよ。」「これを飲めば元気になるんですね?全部一緒に紅茶に混ぜて飲めばいいんですか?」「ダメ!全部混ぜちゃダメ!一つずつ飲むんだ。」お爺さんが言うならそうなんだろう。ちなみにシナモンは生理痛に効くそうだ。妊娠中の人には良くないそうだ。帰って飲んでみると三つ目の謎のスパイスは良薬口に苦しな味だった。

これで元気になったかというのはちょっとよくわからないが、ショウガは寒いときに大変重宝している。

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(左からショウガ、シナモン、謎のスパイス)