陽気な預言者

8/29

朝起きて定点記録を撮りにベランダに出た。寒い。長袖長ズボンが着たいくらいとても寒い。下を見ると駐車してある車に朝露がびっしりとついていた。天気も曇りのような気がする。

f:id:kosekihiromi:20170901033519j:plain

(2年間の間にあの建物は完成するかな。)

 

いつもどおり大家に挨拶し家を出て、いつもどおりの道を行く。気がつけばいつもどおりの晴天が広がっていた。

いつもどおりボスの部屋に行く。朝からムハンマドがいつもどおり楽しそうにふざけている。いつもどおり彼にからかわれる。

「日本語のアルファベットを言って!」

「あいうえお かきくけこ さしすせそ」

「もっとゆっくり!」

「あ い う え お か き く」

「ワハハハハ!」

なにがそんなに面白んだ?

よく口を滑らすムハンマド(私もよく失言をする。)でも彼がいると、とても場が和む。

カウンターパートがやっと到着。アーデルが来ないからいつも私はボスの部屋に行かなきゃならない。本当はもう少し遅く来ても怒られないだろうなぁとグータラ精神が首をもたげるが、このボスの部屋で過ごす時間が好きになりつつある。

 

今日は3校目。エッビーンを通り抜け、少し遠くの岩と石が多いアラフムニールという地区の小学校へ。

行きはアーデルの車だ。(他の皆は教育局のバスで行った。)

曲がるとき彼はちゃんとウインカーを出すことに驚いた。(ヨルダンの交通事情は車優先。何かあればすぐにクラクションを鳴らす。ウインカーも出さないしロクに歩行者も確認しない。歩道を横断するときは一苦労だ。)

f:id:kosekihiromi:20170902020003j:plain

 

f:id:kosekihiromi:20170902020146j:plain

 3校目の小学校に到着。

ここでも女性の校長先生。皆でカフワを飲み校長室で歓談。

すると職員らしき女性が入ってきて何やら校長と話し込む。怒りだす校長。負けずに言い返す女性職員。

うひ〜。と思ったがどうすることもできない。

 険悪な空気を察してか、いつもふざけてるムハンマドが「じゃそろそろ帰ろう!行くぞ行くぞ。」と早々と退散。彼は結構気を使って生きているんだな。

滞在約20分くらいで学校を後にする。何も見れなかった。

 

陽気なムハンマドの写真を載せたいところだが、彼は写真が大嫌いだ。

いつも笑顔の彼に真顔で詰められたことがある。彼が外から部屋の中の人をからかっているとき、子どものようなその後姿に思わずシャッターを切ったときのこと。データを消すのを見届けるまでの厳重ぶりだった。

陽気さと写真に収まることが好きなことは=(イコール)にはならない。当たり前である。彼の陽気さと優しさに甘えて配慮を欠いた自分が悪い。

その件以来、ムハンマドに共感と好感を勝手に持っている。

 

帰りは教育局のバスで帰る。各々都合の良い所で降ろしてもらう。

家の近くで降ろしてもらい歩いていると、「ムニー!ムニー!」と言いながら9歳くらいの男の子が元気よくついてくる。(ムニーって何だ?)無視をしながら考える。

(あ、出たよアラビックイングリッシュ。これ「マネー」だな。)

思わず「マネー?」と口を開いてしまった。嬉しそうに「アイワ!ムニー!ムニー!」(その通り!)ときた。

本日も元気にたかられております。

 

「ハラス、ハラス、ルーフ、ルーフ。(行け、行け)」と始めは静かに言っていたが、あまりにもその男の子がしつこく、疲労も相俟って「ルーフ!」と強めに言ってしまった。アジュルンに来て9日目早くも子どもに声を上げる…。がしかし、幸いというか困ったというか全くめげないこちらの子ども達。

スーパーに寄っても店の前で待っている。面倒だなぁと思いながら買い物を済ます。しばらくして店を出ると、やっといなくなっていた。

明日ワインを持ってきてくれる客人のために、家に戻り料理を仕込む。

(あ、レタス買い忘れた。もういいや…。)

f:id:kosekihiromi:20170902020821j:plain