生誕祭と胡桃

20171204

今日も今日とて国旗を掲げるがなびかない。風が吹かない日の方が多いからね。

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(国旗と月)

いつもとおなじ朝の集会が異様に長いし、なんだか皆楽しそうだ。壇上では芝居も始まった。コレ何?と隣にいる美術の先生に聞いたら「預言者ムハンマドの生誕祭だよ。」と教えてくれた。

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(この日は美術の先生も子ども達を連れてきていた。長丁場に子どもも私も飽きてしまった。坊ちゃんの方は生徒から後に「小さいヒロ」とあだ名を付けられる。髪型だけだろ。こんなにポールマッカートニーみたいで可愛いのに、気の毒なあだ名だ。)

 

帰り道アジュルンを歩いていたら、木に向かって石をぶつけているおじさんがいた。ドンキホーテかなと思ってみてたら、こっちに気づいてやってきた。「これやるよ。」と手の中にはクルミがたくさんあった。そうやってクルミを落とすのか。

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家に帰って割って食べた。歩いているとクルミが貰える町です。

 

 

シリア料理

まだ終わってはいないがアメリカがエルサレムイスラエルの首都と認定するという動きがあった頃、アジュルンでは特に大きな動きはなかったが翌日学校に行くと、いつもの朝の全校集会で、選ばれた生徒何人かが壇上でその事について自分の考えを読み上げていた。(これも日本じゃあり得ないよな。)

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別の日には市場で買い物していたら日本人と聞かれ、そうだと答えると「アメリカのニュースについて日本人としてどう思う?」と聞かれた。普段は「スィーニー!スィーニー!(中国人)クーリー!クーリー!(韓国人)」と騒ぐだけなのに初めて意見を求められた。それほどこの国の人達、いやこの宗教の人達にとって大きすぎるニュースだった。浅はかな回答しかできなかったのは、言葉を知らないのではなく歴史を知らなすぎるからだ。余りにもわからなさすぎる。起きていることはわかる、言っていることもわかる、期待している答えもわかる。だけど何て言えばいいのか 、大きさ(重さと言った方がわかりやすいかな。)がわからないんだ。同じ物を持っているけれど、相手はすごく大きい、こっちはそれほど大きくない。感覚の問題か、当事者の問題か。で、本当の大きさはどのくらいなのかと。

 

話は変わり、シリアのお爺ちゃんことジュードといつもの様にスーパーで遊んでいたら奥さんから電話がかかってきて家に遊びにきなさいと言われそのままジュード家に遊びに行った。奥さんもジュードに負けず劣らず愛嬌があってとても可愛らしい人だ。ちょうど娘さん達もいて皆でシリアの話をする。言ってることが全部わからないのが歯痒いが、帰りたいのだけはよく伝わってきた。

ちょうど昼食の時間だったので、そのまま御馳走になる。

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(サハラブという牛乳とコンスターチの飲み物。これ冬の飲み物だ。作り方を教えてもらって何回か自分でも作っている。)

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(名前忘れた。水餃子みたいなやつ。ヨルダン料理に比べて少し味が落ち着いている気がした。こういうのを優しい味というのだろうか。)

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(皆こぼしながらよく食べます。すばらしい。)

 

 

おもちゃ屋が儲かる日。

とはクリスマスのことである。

大半がイスラム教徒のこの町ではどういう感じになるのだろうか?

クリスマスが近づいてくるとスーパーの売り場にクリスマス商品(ツリーの飾りやクリスマス用のお菓子)がたくさん並びはじめた。

 

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(アジュルン唯一の花屋もこの通り)

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我が家でも大家夫婦(クリスチャン)があーでもない、こーでもないと言いながらクリスマスツリーを飾りはじめた。

大家家族と昼食を食べていたときクリスマスはムスリムもお祝いするの?と聞いたら「しないよ。クリスチャンだけ。祝日もムスリムは25日の1日だけだけど、私達は25日と26日の二日間。」「仏教徒は?」「なし。」まぁこれは冗談だけど、美術の先生や校長も含め大半の先生がムスリムだから25日だけだろう。(教員数約40人中キリスト教徒の先生は2人だけ。)

 

で、クリスマス当日。ひさびさの祝日は遅い起床だ。教会の鐘の音がいつもより心地よい。大家さん家でお客さん用にだすお菓子やコーヒーを御馳走になる。ちょっとまだ書くのに憚れるお菓子を食べる。午後から雨が降ってきた。

夜になっても雨は続いていた。自宅でぼけっとしていたら何やら外からブブゼラの音がする。なんだって雨の中、うるさいなぁまったく…と思っていたらうちのチャイムが鳴り響き、ブブゼラのけたたましい音とともにサンタが入ってきた。クリスチャンがクリスチャンの家を毎年まわっているそうだ。(当番制なのだろうか?)ワーって騒いでワーつって帰っていった。

秋田のなまはげを思い出す。田舎ならではの祝い方だ。

 

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(寒かろうに…。)

 

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(我が家のクリスマスツリー。)

 

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(別のお宅のクリスマスツリー)

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(また別のお宅のクリスマスツリー)

 

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(コーヒーカップもクリスマス仕様。)

 

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(貰ったプレゼントを見せてくれるユースフとイリヤーン。やっぱり銃は人気なんだね。)

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(普段はおとなしい教会もクリスマスはこの通り。)

 

 

 

 

グスマート

あー寒い、寒い。日本よりは寒くないけれど寒いもんは寒い。東北の人間だけど寒い。

引き続き去年の話。(いつになったら今年になるのだろうか。)

 

調理実習をした翌日、何人かの生徒から「チキンライスを作ってみたよ。」と言われる。なんで皆チキンライスだけなんだ?と思いつつ嬉しい限りである。

ある日のこと学校のアラビア語の先生に終わったらウチに来なさい。と言われる。有り難い話だがちょっと具合が悪かったので「今日は具合が悪いんだよね。明日じゃダメ?」「ダメ。今日。」強引だなぁ〜と思いつつ「じゃ、行く。」と言い仕事終わりに先生の家に遊びにいく。

到着して、なんで今日じゃないとダメなのかがわかった。親族の女性達20人近くが集まって何かやっている。皆に挨拶を済ましてから「コレ何?」と聞くと「グスマート。」何それ。

覗いてみると見覚えのある黄色いパン(ターメリックとなにかの実が入っている。)を女性達がせっせと作っていた。この、パン作りを「グスマート」と呼ぶらしい。

この黄色いパンには見覚えがあった。以前に大家さんから貰って食べたことがある。甘い紅茶と一緒に食べるんだよと教えて貰った。これがまた美味しいんだな。でも作っているところは見たことなかった。

おーこれはなかなか貴重だなぁと思って「写真撮ってもいい?」と聞くと「いいよ。」と言ってもらえたが女性陣の頂点であるママ(80歳くらいだろうか)が「ダメ!」と一言。周りがいいじゃないと言っても頑と譲らない。基本女性の写真はNGな文化なので仕方ない。と諦めていたのだが、ママが目を離すと周りが(ホラ!今のうちに!)みたいな感じを出しカメラを構えるがなかなか難しい。何回かトライしているうちにママに見つかって「だからダメだって!」と怒られる。謝りながら絶対顔は写さないからと言って数枚撮らせてもらった。

そして早速参加させてもらった。恒例の質問攻めに遭いながら、見よう見まねでやってみるが皆のように上手くできない。やっていくうちにコツを掴んでそこそこ出来るようになった。周りも上手い上手いと持ち上げてくれる。

 

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(テーブルの上で生地をこねる)

 

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(プレートの上で生地を伸ばすと模様ができる)

 

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(模様をつけた生地をこのように並べる)

 

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(窯で焼いて油を表面に塗って完成)

次から次へと生地はやってくるし、釜は二台同時進行だし、どんどんと大量のパンが生産される。そして作りながら皆食べる食べる紅茶とともに。私も作りながら4,5枚は食べた気がする。片付けもすべて終わった頃にはとっぷりと日が暮れていた。にしてもこの大量なパンはどうするんだろう?と思っていたら、4,5枚ずつ袋に入れはじめた。先生に「ほら、誰に持っていく?」と聞かれ、この人とこの人とこの人、と日頃お世話になっている数名をピックアップする。自分の分も持たせてくれてお土産にしてくれた。

皆それぞれこうやって近所の人とかに配るんだそうだ。そりゃ大量に必要になるな。

招待されて用意された御馳走をみんなで食べるのも面白いけれど、こうやって一緒に作りながら気がついたらとっぷり日が暮れている方が性に合っている気がする。

 

 

 

 

 

調理実習(何年ぶりだ?)

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この日学校で卵焼きを焼いた。経緯は以下。

 

暇なとき美術の先生と、仲良しの家庭科の先生の授業を覗きにいく。

近くにいた生徒の一人がコソッと箸の持ち方を聞いてきた。ペンを使ってこんな感じと教える。

 

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(んー。何か違うんだよなー。)

 

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(あー惜しい!ピントも惜しい!でもなかなか筋がいいぞ。)

 

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(さすが先生。)

 

なんてやっていたらちょっと盛り上がってしまい。「そこうるさい!」と怒られる…。ごめんなさい。

やっぱり興味あるんだな。

そこで考えついたのが冒頭の写真の卵焼きである。これなら作るとき箸を使うしくるくる巻くしウケるんじゃないかなと。

後日、家庭科の授業に参戦して卵焼きとついでにオムライスを作った。案の定、興味深そうに見入っていた。

ムスリムは豚肉や神の名の下に捌かれていないお肉、お酒などは口にすることを禁じられている。禁じられていることを「ハラーム」という。食べても大丈夫なものを「ハラール(食品)」という。不安だろうから作り始める前に「使う材料はすべてハラールだよ。」と言ったつもりが「ハラーム」と言ってしまい場を凍りつかせるという一幕もあったが、あっという間に卵焼きとオムライスはみんなの胃袋に消えていった。

 

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オムライスを作っているとき、最後卵の上にチキンライスを置いて皿でフタしてフライパンごとひっくり返すときに生徒から「マクルーベ。」「マクルーベみたい。」「マクルーベじゃない?」と声が上がった。マクルーベとは「ひっくり返す」という意味でヨルダンの伝統料理の一つだ。作業工程の最後に鍋ごとひっくり返すのでその名がついた。

これがマクルーベ。

 

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(ある日帰ったらバーバがマクルーベしてた。)

 

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(と思いきや大量のダワーリーだった。これもヨルダンの伝統料理の一つ。ブドウの葉にお米と肉を混ぜたものを包んだ料理。ズッキーニも中をくりぬいて中にお米と肉が混ざったものが入っている。)

 

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(これがマクルーベだ。肉、野菜の炊き込み御飯といったところだろうか。とても美味しい。個人的に一番好きなヨルダン料理かもしれない。)

 

 

 

どこから手を付けていいのやら。

と思うくらいの更新頻度。

見積書やら報告書やら仕事してるみたいで嫌になる。

あっという間に冬だ。外は退屈に拍車がかかるような、どんよりとした曇り空。時折雷がなっている。この国は冬に雷がなる。アンマンはうっすらと雪が降っているそうだ。寒い。雨が降ると一気に気温が下がる。あまり日本食は恋しくなったことはないがコンビニの熱々の肉まんが今一番恋しい。

夢中になってたら気づけば半年が過ぎた。新年も明けていた。

なんだかんだあって、なんだかんだ考えて今は一つの高校に絞った。とても居心地がいい学校だ。

ある日の帰り道、隣の席のおばちゃんが指につけてる何かをカチカチしていた。八百屋のおじさんや生徒や先生が身につけていて最近気になっていたものだ。万歩計でもあるまいし、一体コレは何なんだろう?

「それなんですか?」

きっと詳しく教えてくれたが全然わからない。何なんだろう?と疑問を引きずったままぼんやりとしていたら、帰り際「コレ、あなたにあげる。」と渡された。「イヤ、大丈夫、大丈夫。あなたのだから。」と言っても「あげる、あげる」「大丈夫、大丈夫」の押し問答。一度言ったことはなかなか引き下がらないのがこの国の人達だと思い出し、ちょっと欲しかったのもあり「どうもありがとう。」と受け取る。

でも、これ一体何だ?疑問は解決しないまま、とぼとぼと歩く。水を買おうと家の近くの商店に入る。ここのおじさんはクリスチャンで少し英語が話せる。何か疑問があるといつも教えてくれる。水を買った後、そうだと思い聞いてみる。「これ何?」「これはムスリムがthanks godとつぶやくたびにカウントするものだよ。何で持ってるの?」「もらった。」(え、この人1000越えてんじゃん。)「これいつリセットするの?」「24時間でリセットする人もいるし、リセットしない人もいる。」

なるほどねー。カウント数と敬虔度の比例かぁ。

 

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(この国ならではのカウンターの使用法だな。)

 

 

 

しばらくお待ちください

学校のマクサフ(売店)でダンボールを漁っていたら、売店のおばちゃんに「この学校に来て1カ月だね。」と言われる。ということは、ブログを1カ月以上更新してないことになるのか…。

「いろいろあるけど、私は元気です。」とどこぞの映画のキャッチコピーで逃げるか?いつ書いたのかも忘れた下書きフォルダで燻っている記事でごまかすか?あぁ面倒くさい。

 

という訳で前者で逃げます。

いろいろあったけど、風邪もひかず元気にやっています。

忙しいの一言です。冬休み全くないじゃないか。

ぼちぼち更新します。しばらくお待ちください。

 

それでは、良いお年を。(縁起の良さそうなジュードサンタの写真を添えて。)

更新していないのに多少のアクセスありがとうございます。

 

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